UX探訪記

UIデザインやUXデザインに関する記事を集めたり書いたりしています。

保育士から学ぶUXデザインのコツ

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私は毎朝子どもを保育園に送ってから仕事に行っているのですが、そこで出会う保育士から学ぶことが多いように感じています。

特定のだれか、というわけではなく、今まで多くの方に出会ってきた中で(実は私がお世話になったことのある保育園は合計5つに上ります)、信頼できる保育士に共通する特徴があります。
そしてその特徴は、UXデザインの観点からも非常に重要だと考えています。
ということで、保育士から学ぶことのできるUXデザインのコツという変てこな話を書いてみたいと思います。

子どもたちひとりひとりに対して興味を持つこと

保育士の皆さんの観察眼はすごいなと常々思います。 たくさんの園児がいる中で、誰が何をやってどうだったか、体調など変わったところはないか、といった一連の状況を把握しています。 毎日の様子を記した連絡ノート(日記みたいなもの)を見ても、
「今日は○○公園に行き、○○で遊びました。○○ちゃんは「○○」と言いながら、○○を見せてくれました。そのあと云々・・・」 とエピソードがかなり詳しく書かれています。

もし自分だったら、
「今日は〇〇公園に行きました。元気に遊んでおりました。」
程度の月並みな内容しか書けないような気がします。

保護者は何気に連絡ノートを楽しみにしているわけですが、子どもたちひとりひとりを観察し、毎日期待に応えるほどのアウトプットを出す、というのは大変だと思います。

これで考えさせられるのは、私たちもユーザー調査をするときには、ユーザーのことを少しでも多く知ろうとする姿勢が大事だということです。
「ユーザー」と言ってしまうと、ひとつのかたまりのように思えてしまう場合もありますが、それぞれの人物に興味を持ち、たくさんのことを知ろうとして接すれば、より良い発見ができるのではと思います。

子どもたちの興味の所在や、周囲の環境に対して興味を持とうとすること

子どもに関する興味だけでなく、その人の周りの環境に興味を持つ、というのも大切です。
変な言い方ですが、子どもたちの興味があることに興味を持つこと、ということでしょうか。

以前、私の子どもの担任は、子どもがときどき話している従姉妹の名前まで覚えていました。
ただでさえ覚えておくことが多い中、意識しなければできることではないと思います。
そういったことを覚えておくことで、子どもとのコミュニケーションもうまくとれるでしょうし、保護者からの信頼も得られるのではと思います。

これもユーザー調査で活かせそうなポイントかなと思います。
ユーザーそのものだけでなく、その周りの環境を知ること。それにより、かえってユーザーに対する理解を深めることにつながると思います。
また、ユーザーから寄せられる信頼も変わってくるのだと思います。

ハグをすること

バグに見えた人、さてはSEですね?
バグではなくハグです。

よく保育士がハグしている光景を見かけます。もちろん私たち保護者ではなく、子どもたちとです。
朝登園したときとか、帰りとか、特にぐずっているときはそれだけで収まるように思います。
もちろん、親子でのハグもありますが、保育士のそれは「私は常にあなたの味方です」という姿勢を示しているように思います。

これはアプリやサービスを通してユーザーと対峙している私たちが必要とする要素だと思います。 現実には、集客や利益といったビジネスの視点や、スケジュールやコストといった開発の視点など、様々な視点が絡んできます。
UXデザインを標榜するからには、それらのバランスを取りつつも、もうひとつの視点であるユーザー視点を第一に考え、常にユーザーの味方でなければならないことを意識し、それがユーザーにも伝わるような設計をしていくべきだと思います。

以上、3つほどピックアップしましたが、ほかにもいくつか思い当たるところがあるので、また機会があれば続編を書いてみたいと思います。
ちなみに、自分の園児だったころの保育士との思い出は、怒られたことしか印象に残っていないというのがちょっと悲しいところです。