UX探訪記

UIデザインやUXデザインに関する記事を集めたり書いたりしています。

UX関連記事 (2019/5/27)

布団を圧縮袋に収納したのですが、最後掃除機で空気を吸えず、体で押し込んで空気を出しました。うまくいったのですが、やってる最中の姿はかなり情けないものがあります。
さて、先週一週間くらいで私の気になった記事を紹介します。

幸福のデザインを忘れていませんか (U-Site)

最近の UXデザインに関する指摘で、UXデザインがマーケティングの文脈で話される中で変節していることが説明されています。
「毒されている」という強い表現になっていますが、ユーザー中心の考え方が製品開発からだんだんと広がって溶け込んでいく中で、それぞれのバックグラウンドで語られる以上、ある程度仕方のない部分もあるのかもしれません。
ただ、UX でも CX でも「体験」というからには、「どう売るか」という観点でユーザー調査やモデリングをするより、「どういう体験をしてほしいのか」を出発点に議論したいなと思います。

ユーザの状態を言葉にするデザインはするな! (UX TIMES)

けっこう過激なタイトルですが、現在の状態を示すテキストが返ってわかりにくさを助長しているという記事です。
UIの世界ではけっこう有名な話で、その言葉が今の状態を指すのか、選択した後の状態を指すのかで混乱するケースが多く、それを鑑みてデザインする必要があります。
その意味では、この記事で書かれているような「言葉をデザインに入れてはならない」というよりかは、状態がちゃんと伝わるようにするためにどうしたらいいか、という観点で最適なデザインを考えるとよさそうで、その結果として言葉が入ることになっても良いのではないかと思います。

過去のUXリサーチを管理する為のカスタマーインサイトリポジトリとは (UX MILK)

過去のUXリサーチをどうやって管理して再利用するか、に関する記事です。
個人的にこのリサーチ結果の蓄積と共有、再利用についてもっと上手にできれば、コストが削減できたり、さらなる気づきへつながるように思います。
難しいのは、異なる製品・サービスに対して適用する場合で、そのときにすぐ取り出せるようなかたちで蓄積するか、あるいはそうしたかたちで情報を抽出するスキルを磨くなど、方針を決めておく必要がありそうです。

複雑な乗換体験を直感的に! 乗換案内アプリのデザイン (Yahoo! JAPAN Tech Blog)

乗換案内アプリのデザイン事例についての記事です。
もはや乗換案内は日常で欠かすことのできないアプリですが、そのUIデザインやUXデザインについてわかりやすく説明されています。
どちらかというとUIレベルの細かい工夫がメインになっていますが、かなりユーザー視点を突き詰めていて、内部での議論も相当重ねているように感じられました。 最後のほうの「デザインは壊しやすく」というのも、ひとつの設計に固執しない、という意味で大切なマインドセットだと思います。

It’s 2019 and we are still using floppy disk icons (UX Collective)

フロッピーディスクアイコンは時代遅れなのにまだ保存機能のメタファーとして使っている、という記事です。
マテリアルデザインのアイコンライブラリーを例にとり、フロッピーディスクアイコン以外のもの(南京錠のアイコンとか、ギアのアイコンとか)も含めて、代替手段を利用すべきと説明されています。
フロッピーディスクアイコンの代替アイコンですが、わかっている人にはわかるものの、一見してその示しているところがわかりにくいのが、完全に代替できていない理由だとも言えそうです。
この記事をさらに進めて、デスクトップコンピューター全体のメタファーも変えていくべき、という記事も同時期に掲載されましたので、ご興味ある方はどうぞ。 →https://uxdesign.cc/the-desktop-metaphor-must-die-676fbb34afdb

How Multimodal Design Will Impact the Future of Customer Interactions (CMS Wire)

マルチモーダルインターフェースのためのデザインについての記事です。
ここでいう「マルチモーダル」というのは、Amazon Echo Show などのように、音声UI と画面UI が組み合わさったもののことで、こうしたもの(マルチモーダルエクスペリエンスと書かれていますが)が今後増えていくだろうという話がされています。
マルチモーダルUI のための設計ポイントについてもまとめられていますが、一つ目の項目の「新規にデザインする」というのがなるほどと思いました。
「画面UI に音声を足す」といった形で従来の延長で考えてしまいがちですが、そうではなく新しい UI としてゼロからちゃんと考える、というのが、ユーザーにとって最適な体験につながるのではと思いました。