UXではなく、ユーザー体験と呼ぼう
暇だから、というわけではありませんが、たまには自分で記事を書いてみます。
最近は、Web上で「UXとは?」だとか「UIとUXに違い」について説明された記事が多く見られます。 UXは実体が目に見えるわけではなく、対象も広いこともあり、わかりにくい概念です。 一応ISOでは「UXとは何ぞや?」が定義されているものの、表現が深淵すぎて良くわからない、ということもあり、Web上で多くの人が「UXはつまりこういうことだ」とわかりやすく説明してくれているのだと思います。
UX の解釈のずれ
ただ、この「UX」をめぐる解釈に、説明者ごとに少しずつずれがあります。 この”ずれが生じてしまう”という原因には、以下の理由が考えられます。
- 自然と各々のバックグラウンドに根差した定義になる
- 自分の想いを乗せがちな部分が表現に現れてしまう
- 実はあまりよくわかっていない
- わざと変な表現にして読み手を惑わせようと企んでいる
3、4 はまだしも、1、2 については、どの定義も「間違っている」といえないものの、表現が百花繚乱で本当にそれでいいのかな?と思います。
そういう状況で、「UX」を含む用語がたくさん出ているから困りもの。 例えば、WebサイトのUX、UXライティング、UXフロー、リーンUX、UI/UX、UXバグ、UXerなどなど。 まだありそうですが、とにかく「UX」を付けるとそれっぽく聞こえてしまうのがよろしくない点です。
UXではなく「ユーザー体験」と呼ぼう
そこでひとつの提言、表題の通り、「UX」ではなく「ユーザー体験」と呼ぶということです。 UXは「ユーザー体験」のこと、に対して反論する人まずいないでしょう。 なんせユーザーエクスペリエンスですから。 まぁ利用者体験とか、ユーザー経験でもいいのかもしれませんが。
そして「ユーザー体験」であれば、そこに不可思議な意味合いを付加することはできません。 だから「UX」をあえて使わず、「ユーザー体験」と呼び換えるのが良いと思います。
普段の会話の中で「UX」と呼んでいる部分を、「ユーザー体験」と呼ぶだけで、あいまいだった対象がはっきりしてくるし、実は 「UX]という文脈で語るべきではなかった点があぶり出されるかもしれないし、うさん臭く見られなくて済むかもしれません。
前述の例を呼び変えてみましょう。
- WebサイトのUX → Webサイトのユーザー体験 → わかる。
- UXライティング → ユーザー体験ライティング → なんだそりゃ。
- UXフロー → ユーザー体験フロー → わかる。
- リーンUX → リーンユーザー体験 → リーンUXデザインと呼んだほうがよさそうです。
- UI/UX → ユーザーインターフェース/ユーザー体験 → わかる。両者の違いもわかる。
- UXバグ→ユーザー体験バグ → なんだそりゃ。
- Uxer → ユーザー体験者 → なんだか宗教家みたい。
違和感なく呼び変えられていれば、使い方として間違っていないと言えます。 少なくとも解釈の相違は生まないでしょう。
「UX」を使うべき場面
なので、UXは極力使わないほうがよいと思うのですが、私は意図的に「UX」を使う場面があります。 それは「相手を煙に巻く」ときです。 「そのUXは~~うんたらかんたら」というと、前述のとおり、何だかそれっぽく聞こえます。 「UX的に良くないですね」というと、なんだかよくわからないけど良くないんだな、という妙な納得感があります。
まぁ後で墓穴を掘る可能性があるので、あまり使わないほうがよいと思いますが、取り急ぎの置かれた状況を脱するときに便利(?)です。
と、ここまで好き勝手書いておきながら、このブログタイトルも「UX」を使っているという事実。 変えなきゃかな。 とはいえ、読んでいる人を煙に巻こうという意図はないですよ!