UX探訪記

UIデザインやUXデザインに関する記事を集めたり書いたりしています。

UX関連記事 (2018/9/3)

社会人になってからずっとこまめに家計簿をつけていました。少し前に都合によりやめていて、また半年前くらいからつけ始めたのですが、なかなか以前のように筆が進まず。習慣を取り戻すのも大変だということを知りました。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

アテンションエコノミーにおける倫理的なデザインの重要性 (UX MILK)

倫理的なデザイン、英語で言うと Ethical design についての記事ですが、こういった記事は特に海外で最近増えてきているように思います。
この記事では人々の関心の奪い合いの観点から、デザイナーとして必要となる心構えなどが書かれています。
モバイルに関する倫理の話で言うと、他にもスマホ依存症やスマホ老眼など、課題は山積みだと思うので、それらの解決に向けたデザインも検討していく必要性を感じます。

「これ以上アイテムを持てません」にイライラする話 (ISID UX Design Blog)

https://isid-uxdesign.tumblr.com/post/177472662245

ゲームでよくある「アイテム数の上限」に関するUX的な考察です。
これはドラゴンクエストで悩まされた経験がある人は私だけではないはずです。
(そのときは袋に入っている道具をいったん取り出さないと使えない、というのにも悩まされました。) ここではイライラする理由など詳しく書いてありますが、要はユーザーのタスクが阻害されることが問題だということです。
最近はアイテム枠を増やすためのアプリ内課金というのもあり、そのための有効な手段とも呼べますが、それによるUXとのバランスも大事になってくると思います。

0.3mmのシャープペンで丁寧に書く 中学2年生女子の行動を観察 (日経クロストレンド)

行動観察に関する記事です。
中学2年生女子の行動を観察、というとなにやら怪しげに聞こえますが、学習環境や学習方法を詳しく観察した内容が書かれています。
連載もので、次回はここから新製品のアイデア出しについてだそうです。
会員限定記事なのですべて読むには登録が必要ですが、その価値はありそうな内容で、次回が楽しみです。

約5割の人は「より良い使い勝手」を求めてAndroidからiOSに乗り替える (カミアプ)

スマホのOS乗り換えに関する調査結果についてです。 タイトルだけ見ると、iOSのUXが優れているとなります。
まぁその通りなのかもしれませんが、実際のところ「より良い使い勝手」を求めてiOSからAndroidに乗り替える人も30%いますし、そもそもBetter User Experience って何を指すのか?とか、乗り換える前にどこまで理解しているのか?単にイメージじゃないのか?といった疑問も浮かびます。
とはいえ、興味深い調査結果であることは変わりなく、面白い内容でしたが、下のほうにあるコメント欄の賑わいもまた面白いです。

Procedural Knowledge and How it Affects User Experience (Portent)

手続き的知識がUXに与える影響についての記事です。
「手続き的知識」とは、慣れていて考えるまでもなくできてしまう、いわばノウハウで、言葉で解説して知識となる「宣言的知識」が習慣化してできるものです。
ここではイノベーションと言いつつあまりぶっ飛んだものはやめて、ちゃんとユーザーの手続き的知識に根ざしたUXデザインにするべき、と述べられています。
そのためにもUIデザインパターンは大事と書かれていますが、それだけでなく、デファクトスタンダードに従ったり、ユーザーの普段の行動習慣を理解することも大切だと思います。

5 Unexpected Sources For UX Design Inspiration (Usability Geek)

意外なところからUXデザインのインスピレーションを得るという記事です。
5つのソースが紹介されていますが、UXというよりUIの参考になるものが多い印象です。
5番目の街中で得るインスピレーションが一番役に立つような気がします。
あと、個人的には本をけっこう読むのですが、一見UXデザイン、UIデザインと関係ない本でも、コミュニケーションをとるときの参考になったり、アイデアの源泉になったりと、役に立つときが多いように思います。

ユーザー・オフボーディングの考え方

先日 Fitbit からメルマガが届いたのですが、今は使用していないので、メルマガを配信停止することにしました。
メルマガ中のリンクを押すと、以下のような画面が出てきました。

f:id:junichiirokawa:20180824000656p:plain

ちょっと楽しい画面で、思わず笑ってしまいました。

この確認画面から配信停止に進むと、以下のように悲しそうな顔になります。 f:id:junichiirokawa:20180824002942p:plain

このような、サービスを退会するときのUXを「ユーザー・オフボーディング (User Offboarding) 」と呼びますが、今回はこれについて考えてみたいと思います。

サービスの入会時、会員登録してチュートリアルを見て、使えるようになるまでをユーザー・オンボーディング (User Onboarding) と呼びますが、ユーザー・オフボーディングはその逆です。
このユーザー・オフボーディングのポイントは、以下の2つだと考えています。

  • 退会であっても「心地よい体験」であること
  • 退会するとどうなるか?を伝えること

まず一つ目の「心地よい体験」について考えてみます。

退会であっても「心地よい体験」であること

Fitbit の例のように、こうしたウィットに富んだデザイン(「エモーショナルデザイン」と呼ぶこともあります)は、海外のサービスではよく見られます。
日本であまり見られないのは文化的な傾向なのかもしれませんが、海外サービスの例で他に私が知っている退会画面は、

  • サービス責任者が同僚から「ダメなサービス作りやがって」的にパイを投げつけられる映像が流れる
  • ポール・ヤングの「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」が流れる (歌詞が失恋の未練を歌っている) と、かなりはっちゃけています。

こういったオフボーディングは、ユーザーをサービスに引き留めるのに有効でしょうか?
実際はほとんど役に立たないかもしれませんが、少なくともユーザーが不快になることはありません。
メーカー、サービスに対する親近感がなくなることはなく、もう一度必要になったときに、再度選んでもらえる可能性が高くなると思います。

一方で、引き留めに躍起になり、退会の導線をわかりにくくしたり、意図的に面倒にしたりするオフボーディングもあります。
これらはよく「ダーク・パターン」とか「ダークUX」と呼ばれてやり玉にあがったりしますが、いずれにしてもユーザーは不快になり、「二度と使うか!」となってしまうかもしれません。

心理学の用語で「親近効果」というものがあり、最後の印象は残りやすいと言われています。
退会する際にも良いUXを提供していくのが成熟したサービスの考え方であり、長い目でプラスに働いてくるように思います。

退会するとどうなるか?を伝えること

ただ、退会しやすくするとして、予想以上に退会されても困ります。
そうならないよう、引き留め方に工夫が必要なのだと思います。
ただ単純に引っ張り戻そうとしても無理なものは無理。それであればユーザーに気づいてもらうのが一番です。

この場合、「退会を引き留める」のではなく、「退会により問題となること、つまりユーザーが損をすることを伝える」ようにして、ユーザーに気づきを与えるのが良いと思います。 上で見ていただいた通り、Fitbit は現状そういった工夫はされていませんが、Fitbit 自体、ヘルスケアのブランドですから、例えば健康面に訴求するのがよいと思います。

タバコの注意書きみたいに「あなたの健康が害される恐れがあります」と記載するのもよいかもしれません。
ただこれは半ば脅しっぽいので、もう少しソフトな表現にして、「Fitbitではあなたが将来にわたって健康であることを第一に望んでいます。継続して健康管理していきませんか?」といった説明があると、ユーザーはいったん立ち止まってくれるかもしれません。

行動経済学では、人は得をするより損をするほうに敏感である、と言われています。
退会することにより今まで積み重ねてきた情報がなくなる、など、ユーザーが失うものを伝えることで、今までサービスに入っていて得られていたものに改めて気づいてもらえますし、それでも退会したいユーザーは出てしまうものの、

まとめ

ということで今回はユーザー・オフボーディングについて書いてみました。 ユーザーが気持ちよくサービスを終えたことは良いUXとして記憶に残るはずです。
当座の囲い込みではなく、長期的な視点で考えていくべき内容なのだろうと思います。

ちなみに Fitbit では、このときに「購読を続ける」を選択すると、こんな風に表示されます。 f:id:junichiirokawa:20180829010135p:plain

ポジティブで微笑ましく、退会しなくてよかったと思える(かもしれない)画面ですが、機械翻訳丸出しなのが残念です。

UX関連記事 (2018/8/27)

先週から先々週は旅行で不在がちだったのですが、水やりができなかったせいか、栽培していた枝豆がものの見事に枯れていました。ただ、あきらめずに水やりしていたら、復活の兆しが。植物って強いですね。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

価値交換マップで新しいビジネスのエコシステムを描く (in-Pocket)

価値交換マップの概要と手順について触れられた記事です。
ひとことでいうと、価値を交換し合うマップを作る、ということで、考え方としてはKA法に似た手法のように感じます。
手順もわかりやすく書かれていますが、ステップ1のステークホルダーの洗い出しはステークホルダーマップを利用するのがよさそうです。
交換対象としてお金以外(データとか評判とか)も考慮する必要があるとのことで、むしろそうしたお金以外の価値の流れを見える化することに意義があるように思います。

【UIUX Lab研究結果】コントローラが存在しない「スマホゲーム」設計。モンスト“ひっぱりUI”に見る最適解とは? (MdN Design Interactive)

スマホゲームのインタラクションについての記事です。
引っ張って敵を攻撃する操作はモンスト以外にも見たことがあるので、オリジナルではないのかもしれませんが、よく考えられた操作方法だと思います。
コントローラでできていた複雑な操作をタッチスクリーン上でどう実現していくかは大事な視点ですが、その意味では VR の操作を設計するときには生身の体がインプットになるので、複雑な操作をどうマッピングするのかがポイントになるかもしれません。

今すぐデザイナーを呼んでくれ!褒めちぎりたくなる街中グッドデザイン 9連発 (クレイジー)

世間でツイートされたグッドデザインについてまとめた記事です。
グッドデザインといっても意味が広いので、見た目のユニークなもの、不思議なものも載っていますが、個人的には9番目のような課題解決型のデザインが好きです。
あと、褒めちぎるべきはデザイナーだけでなく、企画した人から承認した人まで、携わった多くの人が、チームとして称賛されるべきだと思います。

ユーザーに愛されるサービスはどう生まれたか? “カワイイ”予約代行「ペコッター」のキャラクターがもたらす体験 (XD)

|]

ペコッターというサービスのUXに関する記事で、前編と後編があります。(上記リンクは前編で、ページ内のリンクから後編が読めます。) かわいいキャラクターを上手にプロデュースして効果的に使っているのがわかります。
ただ、本文を読むと、コアバリューは先回りして確実に予約してくれることなのかなと思いました。
キャラクターの話が出るとどうしてもその魅力や活用方法について試行錯誤しがちですが、サブバリューという位置付けを忘れず、コアバリューをどう盛り立てるか、という視点で検討するのも大事だと思います。

A UXers guide to competitor reviews (UXM)

競合他社のレビューを行う方法に関する記事です。
まずは競合他社のサービスサファリを行うとか、テキストベースのテンプレートは捨てて画像やポストイットにするとか、納得度の高いコメントが並んでいます。
最も大事なのが最後の「盲目的にアイデアやデザインをコピーしない」というもので、ビジュアルデザインなど表面上だけ似せるだけ、というのは避けて、本質的な目的を明らかにしてそこから学ぶ必要がありそうです。

8 Documentaries All Designers Must See (Prototypr)

デザイナーが見たほうがよいドキュメンタリー番組についてまとめた記事です。
デザインを話題にした番組を中心に紹介されていて、短いトレーラーなどは一通り見ることができます。
どれも面白そうですが、5番目のヘルベチカの誕生に関する番組は興味があるので是非見てみたいです。
私はもともとドキュメンタリー番組が好きで、クローズアップ現代とかNHKスペシャルをよく見ているのですが、そういった番組でもUXデザイン関連のトピックをやってほしいなと思います。

UX関連記事 (2018/8/20)

帰省したときにスイカをたくさんもらってきたので、猛烈な勢いで食べています。いつもスイカの種を捨てるときにもったいないなと思ってしまうのですが、何か有効な使い道があれば教えてください。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

ユーザ×AI ~ユーザ中心アプローチによるAIのUXデザイン~ (NTTデータ)

理想的なAIのユーザー体験についての記事です。
AIに対してユーザーが抱く不安を中心に説明されていて、その解説には共感できる部分が多いです。
今後は知らず知らずのうちにAIにお世話になっている、ということが増えていくでしょうし、不安感はだんだん薄まっていくのかもしれません。
ただ、記事の最後の方に書かれている4項目、特に「自分がコントロールしていると感じられること」は大切だと思います。

顧客体験は改善するのではなく、再発明する! ~タクシー乗車体験を再発明したUberのケース~ (BACKYARD)

Uberを例にとって、顧客視点による「再発明」について記載した記事です。
インフォグラフィックを随所に入れて説明されていて、とてもわかりやすいです。
Uberの事例は特に取り上げられることが多いですが、それくらいよく考えられた(あるいは説明しやすい)ビジネスモデルなのだと思います。
一方で、Uber以外に取り上げられる事例があまりないというのは、再発明もなかなか一筋縄ではいかないということの裏返しなのかもしれません。

優秀なUXデザイナーはみんなやっている?デザイナーとして成長するための「習慣」15選 (SeleQt)

良いUXデザイナーが実践している習慣についてまとめられている記事です。
この手の記事は良く見かけますが、原文の筆者も信頼できる人物だけに、内容も信頼できるものになっていると思います。
この中では4番と12番が特に重要だと思っています。
これらは日ごろから意識していればできるものでもあるので、多くの方がもっと実践するとよいと思っています。

UIデザイナーにおすすめ!無印良品のプロダクト10選 (Goodpatch Blog)

UIデザイナーと書いてありますが、UXデザイナー含めて誰にでも役に立つ無印良品の小物が紹介されています。
私は2、3、7 を使ったことがあります。
2 はストーリーボード作成に便利ですが、つい四コマ漫画を描き始めてしまうので気をつける必要があります。
個人的に一番好きなのは、ここには載っていませんが、無地のA4リングノートです。

Serif vs. Sans Serif Fonts: Is One Really Better Than the Other? (Design Shack)

英文のフォント、セリフ体とサンセリフ体を比較した記事です。
セリフ体とはアルファベットにヒゲというか飾りのついた書体で、新聞などでよく使われます。サンセリフ体というのは飾りのない書体で、Web上でよく使われます。
この「よく使われている」実態が理にかなっていない部分を取り上げて、丁寧に説明されています。
この両者の関係は、日本語フォントでは明朝体とゴシック体に似ています。
前者はWeb上でほとんど見ることがありませんが、この記事に即していえば、そういった固定観念は取り払って、目的に合わせて使い分ける必要がある、ということになると思います。
(そういえば Medium の日本語記事は本文が明朝体ですね。)

Checkbox vs Toggle Switch (UX Planet)

UIのコントロールチェックボックスとトグルスイッチ(ON/OFFスイッチ)の使い分けについての記事です。
たくさんの事例が挙げられていてそれぞれわかりやすく、「確かに逆だと変だ」というように考えながら読んでいくのも楽しいです。
一点注意が必要なのは、「チェックボックスは即時反映せず、別の [OK] ボタンが必要」というWindowsの頃からの伝統が、モバイルでは崩れがちなところです。
詳しくはMaterial DesigniOSガイドラインを参照するのが良いですが、そういう要素が入ってきたときにどう使い分けるかについては、個人的には「テキストがON/OFFできる機能名を表している場合のみトグルスイッチを使う」という考え方が間違いがないのではと考えています。

UX関連記事 (2018/8/13)

お盆の最中ですがいかがお過ごしでしょうか。こちらは海水浴に行ったら足の甲だけ異常に日焼けして、もはや火傷状態。元に戻るのか不安です。 さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

モバイルユーザーエクスペリエンスの現状 (U-Site)

モバイルUXの歴史に関する記事です。
記事でも言及されているように、この10年でかなり良くなったと思いますが、それもPC時代からの蓄積があったからこそだと思います。
記事ではジェスチャーの進化も書かれていますが、個人的にはジェスチャーが多くなること、特に 3D Touch に操作を割り当てることはユーザビリティの低下を招くので避けてほしいと思っています。

UXデザイン初学者のための基本用語まとめ (Casual Developers Notes)

UX関連の用語集です。
今まであった用語集には登場しないような用語も載っていて参考になります。
各見出し語には日本語もあれば良かったなと思うのと、各項目の中身も少し寂しい(UXデザインのアウトプットがワイヤーフレームと仕様だけというのはちょっと・・・)ので、今後そのあたりのアップデートを期待したいです。

「自動化」と「やっている感」--UI/UXで考えるシステムと人間の関わり方 (ZDNet Japan)

どんどん自動化していく中で、やっている感をどこまで残すか、という興味深い話題についての記事です。
自動運転車の件を読んで真っ先に思い浮かべたのが、遊園地にある子供向けの乗り物です。
レールがついていて自動で動くのに、ハンドルを自由に回せて運転している感を出せるもので、子供の遊びにはちょうど良いですが、実際のクルマの運転自体も似たような状態になる日が来るのかもしれません。

ネットの退会・解約トラップを見抜いて「出口」まで辿りつくには

良くないUX、中でも退会しにくくするとか、間違えてクリックさせるようなものをダークパターンと呼びますが、それらをいくつか紹介した記事です。
この手の記事は海外の記事でかなり増えているので、そのうち自浄作用が働いてくるかもしれませんが、甘い期待でしょうか。
ハッシュタグも用意されているので、気になる人は覗いてみるのもよいと思います。

15 Metrics for UX Benchmarking

https://measuringu.com/ux-benchmark-metrics/

UXをベンチマーキングするための15の指標について解説した記事です。
具体的な説明はリンク先にありますので、興味のある方はそちらをご覧になるのがよろしいかと思います。
Study-Level MetricsとTask-Level Metricsに分かれてまとめられているのがなるほどと思いますが、後者については日本であればNEMが入ってくるように思います。

5 UX copy tips from the experts (Prototypr)

UXライターという職種が(主に海外で)出てきて、それに関する記事もだいぶ増えてきましたが、この記事はわかりやすく納得度も高かったので共有します。
文章や文言を考える際の参考となる5つの要素について解説されていて、どれも重要であるものの、特に1番目と2番目が大切だと思いました。
個人的には4番目が気になりました。
ただやみくもに短くしようとする必要はないということですが、一方で、やはり読み飛ばされる場面も多いと思うので、ユーザーのコンテキストに基づいて適切な長さを考え、その中に納めるように文章を考えるのがよいのかもしれません。

UX関連記事 (2018/8/6)

子どもが夏休みに入ったので毎朝お弁当を作っているのですが、ご飯に海苔でいろいろな絵を描いていたら他の子たちからかなり話題になってしまったようで、ハードルが上がって困っています。 さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

左利きの視点から見たユーザビリティ (デジマースブログ)

左利きで使うときに困るものを写真付きで紹介しています。
私自身も鉛筆と箸以外は基本左なので、共感する部分もありつつ、実際に言われてみればそうだろうなと思うことも多く、観察は大事だなと思わせる記事でした。
世の中の左右、の話でいえば、クルマの右ハンドル左ハンドルがありますね。
日本の道路は基本右ハンドル前提で作られているので、左ハンドルだと大変そうだなと思います。

「見えないデザイン」から「見えないインターフェイス」への進化 (UX MILK)

シンプルで邪魔にならないUIが音声UIなどでも求められてくるのでは、という記事です。
この「見えないデザイン」というのはかなり大事な概念で、個人的にはデザインはそれ自体がコンテンツでない限り主張されるものではないと思っています。
なのでこの記事には共感するところも多いのですが、最後まで読んで、人とシステムの界面が今後どんどん失われていくのでは、そうなったとき、自己とは何か、わからなくなりそうだと不安になりました。

ナビゲーションブラインドネス (navigation blindness) (Website Usability Info)

こちらは「見えるべきものが見えない」という、Webサイトのナビゲーションを見落としてしまい、ユーザーアクションにつながらない問題に関する記事です。
例が二つほど挙げられていますが、確かにこれだと見落としてしまう可能性があります。
特に一つ目のほうはナビゲーションの項目の粒度がまちまちで、UIデザインパターンからもイマイチのように思います。
「ユーザーの文脈でわかりやすい形で提示」というのはとても大事なポイントだと思いました。

カスタマージャーニーマップを色んな職種巻き込んで作ったら「アツかった!」 (ヤプリ)

Wantedlyの中の記事なので、多少人材採用の色もある記事ですが、興味深かったので紹介します。
自社のサービスのカスタマージャーニーマップを部署横断で作ってみたという内容で、楽しそうにワークショップしている様子が伝わってきます。
発見が多かったという感想が書かれていますが、確かに部署間でどちらにも掬われていないユーザーの行動やニーズなどがわかったり、他部署の業務やユーザーとの接点を理解するという意味で収穫は大きいように思います。
より組織が大きい場合や、サービスが大きくてペルソナも複数考えられる場合は一筋縄ではいかないと思いますが、どうやったら近いことができるか考えてみるのも必要だと思いました。

15 Mobile UX Facts & Insights (2018) (MeasuringU)

https://measuringu.com/mobile-2018/

モバイルのUXに関する具体的なデータに関する記事です。
アメリカの調査結果が多いですが、それでも具体的な数値があるとわかりやすく、また説得力があります。
個人的に興味を引いたのは、14番目のタブレットのほうがスマホよりコンバージョン率が高いというもので、これは画面が大きく見やすい点、あるいは腰を据えて買おうというモチベーションが生まれている点が起因しているのかもしれないと思いました。
もうひとつ気になったのが11番目、ネットワークが遅いと心拍数が上がるというものです。
回線遅延が人の健康に影響するとなると、他人事ではいられませんね。

Five examples of terrible game UX (UX Planet)

ゲームに関するイマイチなUXから学べることをピックアップしている記事です。
5つのゲーム(と周辺機器)が紹介されていて、よく読まないとちょっとイメージがわきにくいのもありますが、それぞれの最後に記載された Important Lessons はどれも有用です。
全体を通して、特に「現実世界との一貫性」は大事な要素だなと思いました。
ちなみに一番初めの "Mega Man" というのは、ロックマンの英語名です。

UX関連記事 (2018/7/30)

この週末台風が来たこともあり、天候が不安定でした。私は帰省してお神輿を担いだのですが、動き出した途端に猛烈な雨に襲われ、水をかけられなくてもずぶ濡れになってしまいました。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

目覚まし時計のユーザーエクスペリエンスは「鳴る」ではない (日経 xTECH)

UI設計とUXに関する記事です。
目覚まし時計で目指すべきUX、ということで、本文を見る前に答えを考えてみてください。わかった人はユーザー視点で考えられていると思います。
途中から業務システムのUXでの課題の話になっていますが、これはコンシューマー向けに置き換えても大事な課題だと言えそうです。
ただ、業務システムでこれらが起こりがちなのは、実務担当者と導入決定者が異なることが大きいと思います。

ブルーボトルコーヒーとUXデザイン (Fenrir Designers)

https://designers.fenrir-inc.com/n/ne3e6a2ac9e77

ブルーボトルコーヒーの新店舗を訪問してきたという記事です。
UXデザインの観点から、その提供価値と、それを確実に届けるためのこだわりについてわかりやすくまとめられています。
このこだわりというのは大事な概念だと思うのですが、普段のUXデザインプロセスの中でもっとこうした「こだわり」に触れていく必要があるのかもしれないと感じました。
実は私はまだブルーボトルコーヒーに行ったことがないのですが、それはスターバックスカードを持っているから。
こういうところで囲われていってしまっているわけてすね。

デザイナーの役割ガイド2018!デザイナーの肩書きと仕事範囲をダイヤグラムで徹底解説 (Workship MAGAZINE)

デザイナーといっても様々な役割があるということで、ダイヤグラムで説明されています。
わかりやすいダイヤグラムで、今後はこういった表現で業務スコープが語られていくのが普通になるかもしれません。
定義自体は一般的に言われている通りにマッピングされていると思いますが、最後の「ユニコーン」や「チーム・オブ・ワン」については、どういうものかあまりイメージできないので、少し解説がほしいところです。

ブランドイメージの転換に成功した自動車メーカーは? (U-Site)

自動車の国産メーカーについて、ブランドイメージやその変化についてまとめられている記事です。
内容としては、クルマ好きの人ならだいたい想像しうるであろう結果ですが、わかりやすく可視化されているというところが大事だと思います。
年代によってもイメージが異なるというのは、あまり意識できていなかったので興味深かったです。
各年代でインプット情報が変わってきているために起こる現象ではありますが、そうなると若い時の印象というのはなかなか変わるわけではないということになり、ブランドイメージの奥深さ、難しさを感じました。

What Can Bike Sharing Apps Teach Us About Mobile On-boarding Design? (LukeW)

自転車のシェアリングサービスのオンボーディング(この場合は入会~レンタル可能になるまで)についての記事です。
実際に体験したものを中心に、数社のオンボーディングがまとめられていて、どこでつまづいたかや、どういう改善案が良いのか、やや長いですが詳細に説明されています。
これを読むと、やはり実際に自転車を借りるというリアルな体験といかにつながるかが大事だと気づかされます。
また、なるべく早く使える状態になることが望ましいわけですが、必要な情報を入れないと的確なサービスにもつながらないので、このバランスは今後もユーザーオンボーディングを考えるうえで議論の対象になると思います。

Business goals & user needs (Prototypr)

ビジネスゴールとユーザーニーズに関する記事です。
それほど長い文章ではなく、最後もさらっと終わってしまいますが、この両者はなかなか擦りあわないことも多く、考えさせられる内容です。
個人的にもうひとつ重要な点が、どちらを出発点とすべきか?という点で、これはこれで議論が分かれるところだと思います。
なお、ビジネスゴールとユーザーニーズ、また技術的制約の重なる部分がUXとのことですが、このような図は似たものをよく見かけるので、どれがどれかわからなくなってしまいがちです。