UX探訪記

UIデザインやUXデザインに関する記事を集めたり書いたりしています。

UX関連記事 (2018/7/2)

一気に毎日が暑くなりましたが、それ以上に気になるのが風の強さ。栽培していた植物の茎が折れたり、洗濯物が飛ばされたりと、地味にダメージを受けています。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

カスタマージャーニーマップをめぐる5つのアンチパターン (TOKYO MARTECH BLOG)

カスタマージャーニーマップの作成で間違った考えに関する記事です。
主にマーケティング視点からまとめられていて、既存のフレームワークに引っ張られてしまうことが失敗の要因という点も、裏を返せば今なぜカスタマージャーニーマップが注目を浴びているのかわかるような気がします。
一点これに追加するとしたら、何のためにマップをつくるのか?です。
改善なのか新しい価値なのか、何がどうなればゴールなのか、あらかじめ明らかにしておく必要があると思います。

ピクサーのデザインチームが重要視する4つのプロセス (freshtrax)

ピクサーといえば有名な映画プロダクションですが、そのUXデザインのプロセスに関する記事です。
かなり綿密なリサーチから、シンプリシティというビジョンなど、詳しく説明されています。
では何か特別なことをしているのかというと、そういうことよりもむしろUXデザインのプロセスの中で重要だといわれてきたものをちゃんとやっているということなのかなと読み取りました。
やはりそれぞれのフェーズにおいて徹底的に掘り下げることができているというのが大きいのだと思います。

画像とテキストのジグザグ型レイアウトは、流し読みの効率を下げる (U-Site)

画像とテキストが交互に並んでいるようなサイトの可読性についての記事です。
意味のない画像は、昨今のWebサイトでは多く見られるように思いますが、これらが読み飛ばされるのは当たり前といえば当たり前です。
この「流し読みの効率を下げる」というのは「躓き」と表現されていますが、場合によっては流し読みされないようにする必要もあるので、一概に悪いとは言い切れません。
ただ、そういう目的をジグザグレイアウト以外の方法で実現できるよう模索する必要があるのかもしれないと思いました。

【Webサイトの基本】パンくずリストについて知ろう : ビジネスとIT活用に役立つ情報 (アーティス)

Webサイトのパンくずリストに関する記事です。
ユーザビリティだけでなく、SEOにとっても大事という説明がされており、参考になります。
パンくずリストはユーザーに現在位置を知らせることが大きなメリットとして挙げられていますが、それに加えて、その上位階層、上位概念へすぐに遷移できることも重要だと思います。
あと、たまにあまりに長々しいパンくずリストを見かけることがありますが、これはまずサイトの構造を見直すことから始める必要がありそうです。

Want to understand experience design? Eat popcorn with chopsticks (Co.Design)

ポップコーンを箸で食べると、同じ味でも手づかみで食べるより評価が高くなるという話です。
普段箸を使い慣れている日本人だと、こうは差がつかないのかもしれませんが、それでも興味深い調査内容です。
記事ではこれをエクスペリエンスデザインでも大事なポイントであるとして、「すべてのデザインにこうした箸を入れよう」と書かれています。
確かに同じコンテンツでも提供手段が異なったり、「他とは違う」と感じてもらえるような演出があったりすると、UXは高まるのではないかと思います。

The ten commandments of UX (UX Collective)

UXの十戒ということで、モーセ十戒よろしくUXデザインで大切な要素が10項目まとめられています。
2番目の項目の中で出てくる "Uthers" という単語はなかなか面白い表現で、これはところどころで使えそうだなと思いました。
それ以外のどの項目も大事なことが説明されていますが、最後のほうの 7〜10番目あたりはどれも印象的な内容が多かったです。

UX関連記事 (2018/6/25)

ワールドカップが始まり、最初はそれほど興味がなかったものの、やはり日本代表戦は観てしまいます。そういう人は私以外にも多いと思いますが、これは周りが騒いでいるからそうなるのか、実は根源的に応援したいという気持ちがあるのか、どっちなのかと考え込んでしまいました。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

高齢者に必要な次世代モビリティとは? 共感インタビューで見えた衝撃の事実 (Forbes JAPAN)

デザイン思考の実践、その中でも共感フェーズでインタビューを行ったことについての記事です。
かなりのインタビューをこなしたようですが、それ以外にもイベント参加や店頭のボランティアなど、エスノグラフィー調査とも呼ぶべきタスクをこなしています。
ここでの気づきは私もなるほどと思い、文章のわかりやすさも相まって、続きが読みたくなりましたが、この記事自体もそうした「共感」が意識されているのかもしれません。

無人タクシーで日本が失うものとは? (WEDGE Infinity)

モビリティ系でもうひとつ、無人タクシーに関する記事です。
自動運転車にまつわる海外のトレンドが説明されており、日本が遅れを取りそうということで、是非頑張ってもらいたいところです。
言われてみれば確かにその通りかも、と思ったのが、既存の自動車産業が破壊されるという件で、都市部に住んで平日はほとんどクルマに乗らない人々は、大半が無人タクシーに流れてしまいそうです。

「いいね!」の効果的な使い方―ボタン設計,複数リアクション,ブックマークとの違い (gihyo.jp)

「いいね!」に代表される簡単なフィードバック(ここではライトフィードバックと呼ばれています)に関する記事です。
いくつかのバリエーションが具体的な事例とともに紹介されています。
「いいね!」と保存(ブックマーク)は分けるべきというのはなるほどと思いましたが、一方で、読み手が明確に「いいね!」とフィードバックしなくても、読んだかどうかや、どのくらいの分量・時間をかけているかがわかるだけで、書き手にとってはモチベーションにつながるフィードバックになりえると思いました。

【インタビュー調査】ZOZOSUIT&おまかせ定期便でファッションの顧客体験 (CX)はどう変わるのか? (BACKYARD)

話題のZOZOSUITに関するユーザー調査・分析の記事です。
2人のユーザーについてインタビュー結果や、ジャーニーマップによる分析が丁寧にまとめられていて、参考になります。
このZOZOSUITは、通販だと実際に試着してサイズ感を見ることができないというペインを解消した素晴らしいUXデザイン事例だと思うものの、これを着てサイズを測るときの恥ずかしさや情けなさという問題はあると思うので、次はそのようなペインを解消してもらいたいなと思います。

Is the Future of UX Design Super Minimal? (ICS)

IoT関連で、UX(というかインターフェース)が超ミニマルな方向へ進んでいくだろうという話です。
確かにIoTデバイスは画面サイズがとても小さいか、まったくなくて音声UIで代替する形になって普及しそうです。
記事では、そうなることによってUXがより自然となるとのことですが、これは実世界のメタファーを取り入れた時はよいものの、スマホなどデジタルな世界のお作法を取り入れてしまうと、逆に手がかりが少なくなって、ある程度高リテラシーでないと使いこなすまで時間がかかってしまう可能性もあるので、注意すべき点だと思います。

Stop Pushing “UX Designer” as a Job Title (Prototypr)

肩書に「UXデザイナー」と入れるのをやめよ、という記事で、私も「UXデザイナー」を名乗っているので耳の痛い話です。
確かにUXデザインはとても広い分野で、この記事で取り上げられている役割でどれを担うか(担えるか)を明確にしておかないと、クライアントからの期待値とずれているのに気づかず進んでしまうことになりかねません。
そういえば国内唯一といってもよいUX関連の認定資格「人間中心設計専門家」についても、認定者がみんな均質なスキルを持っているかというとそういうわけでもなく、デザインやリサーチ、評価など、バックグラウンドや役割に応じて様々です。
これからはそういった部分も可視化していく必要があるのかもしれないと思いました。

UX関連記事 (2018/6/18)

最近水辺の生き物を捕まえてくることが多く、家の水槽が増えてきて、メダカやエビ、モツゴ、オタマジャクシなど様々な生物を飼うことになっています。眺めているとけっこう楽しく、癒しになりますが、これ以上増えるのは勘弁してほしいところです。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

インターフェイス上に流れる時間を捉えるには (Goodpatch Blog)

UI上でなにかメニューを開いているとき、後ろ側の画面全体は時間が止まっている、という趣旨の記事です。
専門的にいうならば、モーダルとモードレスについてなのですが、実装寄りの話も出てきて面白いです。
この記事にあるように、iOSの戻るボタンで設定が適用されていないように見えてしまうのは、設計者だけでなく一般のユーザーも多く誤解してしまう問題です。
今何らかのモードに入っているのか、わかりやすい作りが大事だなと思います。

本当に実践的なデザインドキュメントの書き方 第1回:なぜ渡されたワイヤーフレームは分かりにくいのか? (Adobe Creative Station)

主にWebサイトのワイヤーフレーム(Webサイトの情報構造を整理したラフな画面イメージ)をめぐるWebディレクターとデザイナーの役割の話です。
かなり長い記事ですが、さらに続編もあるということです。
記事の中ほどに、ワイヤーフレームをめぐるディレクターとデザイナーの意識の違いがまとめられていて興味深いですが、実際にはここにエンジニアも入ってきたりして、さらに大変なことになりそうです。
こういった成果物に対する意識の違いは、ワイヤーフレームに限らず存在する可能性があるので、やはり成果物の定義はきちんと行ったほうが良いなと思いました。

75歳の父にも親切なウェブサイトやUX (Rriver)

携帯電話の機種変更を手伝ったという記事です。
75歳でスマートフォンというのもすごいと思いますが、今後は一般的になっていくのでしょう。
そういったユーザーも考慮して、アクセシビリティに専念しないとですが、その利用シーンを具体的に想像するのには、この記事のような自分以外の身近な人が適しているように思いました。
なお、セットアップについても少し触れられていますが、リテラシーのあまり高くないユーザーにとっては、このセットアップこそ最初で最大の難関のように思います。

新デザイン生んだ「感性工学」とは 「午後の紅茶」がリニューアル (FNN.jpプライムオンライン)

感性工学に関する記事で、ペットボトルのデザインが取り上げられています。
中身の見え方を工夫したということで、これがどの程度売上につながるのか興味があるところです。
考えてみればペットボトルを例にとっても他にもいろいろな要素がありそうで、例えば触り心地とか、しまいやすさ、開閉のしやすさ、空になったときの扱いやすさなど思いつきます。
私は感性工学に関しては詳しくありませんが、何となく心地よいといった言葉では言い表せない感じ方を実現していくのはやりがいのある仕事だと思います。

The next version of Microsoft Office will feature new Fluent Design experiences (Windows Central)

次のMicrosoft OfficeFluent Design Systemが採用されるという記事です。
公式発表はまだのようですが、記事の中ほどにある動画からその特徴を見ることができます。
UIに関して大きな変更はリボンがコンパクトになった点で、使いやすさが向上しそうだと思う一方で、昔のツールバーに戻ったような印象も受けます。
他の記事では AI 機能についても言及されていて、今後どうなっていくのか興味がわいてきました。

Why touchscreens in cars don’t work (UX Collective)

車のコックピットにタッチスクリーンデバイスがあるとそれに視線や意識が行ってしまうという問題についてです。
テストした結果、タッチ操作に視線を奪われるばかりか、タッチしていないときでも気になって視線を奪われるとのことで、参考になります。
また、音声UIも同じように意識を奪われてしまうというのもなるほどと思いましたが、現状通話しながらの運転で事故が起こりやすいのを考えると、必然的であるとも言えます。 これらの気づきは、自動運転車が出てくればある程度解消される課題かもしれませんが、当面の間はとても重要な知見になってくると思います。

UX関連記事 (2018/6/11)

先日人間ドックを受けてきたのですが、おおむね健康だということがわかりました。一安心ということで、早速甘いものを食べたりお酒など飲んだりしたのですが、こういう生活がやがて身を滅ぼすのだろうと思いました。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

CXOやCBCOって何する人?CEOやCFOだけじゃない、増殖する「チーフ・××・オフィサー」 (BUSINESS INSIDER JAPAN)

最近様々な肩書が増えていますが、ここではCXOなどの肩書に関する記事です。
CXOは「チーフ・エクスペリエンス・オフィサー」で、和訳すると「UXデザインの最高責任者」ということになると思いますが、主にスタートアップ系の会社でそういう肩書を聞くことがあります。
確かに対外的には「UXデザインに力を入れている会社なんだ」というふうに捉えられやすいように思います。
実際にうまく機能するかどうかは会社の規模にもよるのかもしれませんが、そういう肩書を持つ人が社内にいることで、他の人たちも直接的に刺激を受けたり、事前と内面が変化したりと、良い影響があるように思います。

UXデザインで野球はもっと魅力的になる (keizo)

プロ野球観戦にUX視点を取り入れるとよくなるのでは、という趣旨の記事です。
指摘されているように、野球観戦におけるUXは試合そのものだけでなく、球場での雰囲気も含みますし、チケットを購入してから球場に行き、また家に帰るまでも含みます。
すでにそういった観点で誘客に着手している球団もあるように思います。
要は「UX」という言葉を意識するかどうかというよりも、ユーザー視点でサービスが考えられているかどうかなのだと思います。
こういった「○○とUX」という記事は最近多くなってきているように思いますが、自分にも経験ある話が多いので、楽しく読めます。

WCAG 2.1 Recommendation (勧告) (Website Usability Info)

先日正式に勧告(要はリリース)されたWCAG 2.1 のまとめ記事です。
それぞれの項目差分が日本語訳され、わかりやすくまとめられているので、必読です。
これを読むと、単にアクセシビリティと聞いてすぐに想像してしまうようなお年寄りや障碍のある方への配慮というだけではなく、より一般的に使いやすい、ユーザビリティの視点が多分に含まれていることに気づかされます。
良いUIを考えるなら必須の視点だということになりますが、その意味では今後音声UIやVRなどでの配慮も検討課題になっていきそうです。

「レスポンスに勝るユーザー体験はない」AbemaTV開発局長・長瀬慶重インタビュー (Real Sound)

AbemaTVに関するインタビュー記事です。
番組切り替えなどのスムーズさや品質面で、徹底的にこだわっているのがわかった興味深く読みました。
「レスポンスに勝るユーザー体験はない」という言葉はまさにその通りですが、読み進めていくと、いかにレスポンスが速いように見せるか、遅いと感じさせないか、という部分も大切なのだということがわかります。
これはインターネットTVだけでなく、PCアプリ、モバイルアプリなどでも考慮すべき視点だと思います。

Most common excuses for not doing user research (UX Collective)

ユーザーリサーチをしない言い訳についての記事です。
いくつか言い訳とその解決案が記載されていますが、どれもこれも実際に聞いたことのあるような(そして自分でもつい言ってしまいそうな)言い訳ばかりで、思わず笑ってしまいました。
特に一番最初の言い訳が一番厄介で、初めて議論の俎上に上がった課題であっても、「考えてみれば当たり前」的な取り扱いをされる恐れがあります。
それでもそういったファインディングスを積み上げていき、徐々に信頼を得ていくのが意外と近道なのかもしれません。

5 Top Tips For Designing A Button (ClickThrough)

主にECサイトにおけるボタンのデザインに関する記事です。
5つのポイントが記載されていて、それぞれ具体的な良い例・悪い例が載っています。
これを読むと、大事なのは視認性と一貫性だということになると思います。
また、最後の項目はフラットデザイン全盛の現在では注意する必要がありそうです。
なお、このサイト、PCで見ると変わったレイアウトをしています。

UX関連記事 (2018/6/4)

久々に物置の整理をしたのですが、出てくる出てくる空箱の山。いつか使うだろう、と思いつつ取っておいたのはただの言い訳で、単に片づけるのを先延ばししたかっただけかもしれません。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

ユーザー体験を実感するドッグフーディングのメリットと実例 (UX MILK)

自分のところの製品・サービスを体験してみる手法「ドッグフーディング」についての記事です。
実際に試した流れや、その中でのコツも含めて記載されていて、興味深く読みました。
この手法の場合、使う人がターゲットユーザーではないケースも多いので、その部分を注意点として指摘する声もあります。
個人的には「自分たちのサービスはやはり自分たちで率先して使うべき」だと考えているので、そういう注意点を意識しつつ、挙がった課題やその優先度の取り扱いを考慮する必要があると思います。

大企業のUXが良くならないたった1つの原因 (ちょびっとUX)

大企業の製品やサービスのUXデザインが改善しない理由についての記事です。
この「たった1つの原因」は大企業に限らずよく見受けられるポイントだと思います。
解決策として「少数精鋭の意思決定者」が挙げられています。 これがうまく回るとかなり効果を発揮しそうですが、一方で、上層部の人たちがUXを意識しておらず、トップダウンで進みにくいケースも多くあると思います。
いかに効果的な「少数精鋭チーム」の結成を実現するか、そのための啓発活動をどうやるか、まずはこのあたりが大事な点だと感じました。

エンジニアにUIが分かりにくいと言われた - 並び替えボタン編 (ANDPAD)

モバイルアプリのソートUIに関する記事です。
エンジニアとデザイナーで思考が異なるとありますが、それよりは機能の優先度など、前提が共有されていなかったというのが原因なのかなと思います。
解決策に関しては・・・もっと良い案も期待できそうです。
例えば右側のアイコンはアコーディオンコントロールに見えるので、これを矢印に変えるだけでもだいぶわかりやすくなります。あとは、ボタンを分けずに選択肢を減らす (使わないソート順がありそう) とか。
皆さんも試しに考えてみるのはいかがでしょうか。

外国人に"やさしい日本語"とは、文節区切りを明示すること? (使いやすさ日記)

日本語がそれほど得意ではない外国人向けにはフリガナのほかにも文節で区切ったほうが伝わりやすい、という話です。
この文章自体が文節区切りになっていて面白いです。
主にアクセシビリティの観点で、文字サイズを変えられるようになっているサイトがありますが、こういった文節区切りの表示形態も選べるようになっているとさらに良いと思います。
ただ、全角スペースだとちょっと間が広いような。半角程度で入るとよさそうです。
なお、形態素解析を試すことのできるWebサービスはいくつか存在するので、実際に体験してみるのも面白いと思います。

Website Breakdown: The Five W's of User Experience (A. Bright Idea)

5W のフレームワークを使ってUXデザインのポイントを記載した記事です。
どちらかというと入門編ですが、5Wのフレームワークがわかりやすく、説明の時に使いやすそうです。
「When」については、どちらかというとローンチスケジュールの話になっていますが、UXということであればカスタマージャーニーのようなユーザー体験の時間軸にフォーカスしたほうがよいと思います。
5W以外のものも含めると6W2Hというような呼ばれ方をしますが、これで考えてみると、「誰に対して」が「Whom」になるので、「Who」は提供者側の定義になります。
そのほか、「How」で実現方法について検討し、「How meny/much」で提供レベル(ファーストローンチ時点など)について検討する、というように、より細かい議論ができそうです。

All Humans Are Motivated By Three Things (UX Collective)

こちらは短い文章なのでさくっと読めると思います。
すべての人間は3つの誘因によりモチベーションが喚起される、ということで、その3つについて掘り下げる必要性について記載されています。
UXデザインプロセスだと、あまりモチベーションそのものを掘り下げることがないケースもあると感じるのですが、一方で、グロースハックといったフレームワークを用いると、かなりそこにフォーカスするように思います。
これらを上手につないで、UXデザインプロセス、例えばカスタマージャーニーマップの各タッチポイントで、ユーザーのモチベーションについて徹底的に掘り下げる、というような取り組みが大事なのかもしれないと思いました。

UX関連記事 (2018/5/28)

週末に公園に遊びに行きましたが、家族がみんな蚊に刺されているのに、自分は刺されず。歳のせいであまり血がおいしくなくなったのか、実は刺されているけどそれに気づきにくくなったのか、どちらかだろうと考えていますが、どちらにしてもあまりよろしくないですね。
さて、先週一週間くらいで私の気になったUX関連の記事を紹介します。

カスタマージャーニーマップはどう使う?「幸せハンス」と「わらしべ長者」で考えるマップの役割 (A.C.O. Journal)

よく知られた物語からカスタマージャーニーマップを作って気づきを得るという記事です。
流れを可視化することで得られた気づきが2つほど考察されていますが、特に「気づき1」についてはなるほどと思い、これほど知られているストーリーであっても改めて気づかされることはあるのだなと感じました。
通常の製品やサービスの開発では、あらかじめこういったストーリーになっていないわけなので、マップ化してみることで見えてくる気づきはもっと多いのだと思います。

UXからCXへ - 理想と現実の狭間で奮闘するサービスデザイナーの本音(1) CX(カスタマー・エクスペリエンス)デザインって何だろう? (マイナビニュース)

カスタマーエクスペリエンスに関する記事です。
最近UXを単体のプロダクトとしての対象範囲に狭めて、CXを上位概念として位置付けるケースが出てきていますが、個人的には賛同できず、何か特別の意図(例えばマーケティング会社の戦略)などが入っているのでは、と疑ってしまいます。
この記事はそうした趣旨ではありませんが、文中の「CX」を「マーケティング」に置き換えても通じるように思います。
なるほどと思ったのが、成果がない時点で無理に売り込まず、まずは共感してくれるところを探して実績づくり、という流れです。
UXデザイン、サービスデザインもこうした流れが一番受け入れられやすいのではと思います。

モバイルにおけるスクロールの使いにくさを改善、「双方向スクロール」を取り入れよう! (SeleQt)

コンテンツ表示のUIについて、スクロール方向に関する記事です。
通常の縦スクロールだけだと、特にモバイルの場合にスクロール量が多くなってしまうので、横スクロールも併用しましょう、とされています。
注意が必要なのが、文中でも書かれている通り、横スクロールは個別のセクションごとにスクロールする、という点です。
その意味では、双方向スクロールというよりは、通常の縦スクロールに加えてコンテンツ種別ごとにカルーセルで横スクロールする、ということになります。
ここを間違えると、モバイルのガイドラインでもアンチパターンとされているUIになってしまうと思います。

ファストファッションスマホECサイトはなぜ使い勝手の評価が低い? (ネットショップ担当者フォーラム)

スマホサイトの使い勝手のランキングを元に、ファストファッションのサイトの評価が低い点についてまとめられています。
こういったランキングはひとつの目安になりますし、評価の高いサイトはやはりとてもわかりやすい作りになっていると思います。
ただ、ファストファッションで言及されている「世界観の表現」は使い勝手を阻害するという悪い点だけではなく、良い点もあると思います。
例えばどんな商品があるのかイメージがわきやすいとか、目立つ入り口になっているとか。
使い勝手、すなわちユーザビリティは「指定されたユーザーにとっての」使いやすさであることを忘れてはならないと思いました。

What can museum-exhibit design teach us about UX design? (InVision Blog)

美術館のUXデザインから得られる知見に関する記事です。
美術館コンサルタント?という、その道のプロの方へのインタビュー形式になっていて、いくつかUXデザインとして大事な要素も語られています。
考えてみれば、美術館の鑑賞体験のデザインもかなり考えられていて、ひとつの作品の配置や説明だけでなく、他の作品も含めた全体の流れで来場者にどう感じてもらうのか、それをどうやって演出するのか、日々検討を重ねているのだと思います。
ちなみに私は以前入場と同時に一目散に目当ての絵を観に行ったことがありますが、その絵を独り占めできたのが素晴らしい体験でした。
鑑賞順路をガン無視してすみません。

95% of users rely on reviews. And now what?! (UX Collective)

たくさんのユーザーがECサイトでのレビュー(口コミ)を参考にしている、という記事です。
実際どの程度参考にされているのかの指標や、いくつかの参考になる(というかちょっとおもしろめの)レビュー例が記載されています。
私もほぼ必ずレビューには目を通してしまいますが、宣伝文句や説明では十分にわからない「実際に体験したらどうなのか、その結果どうなるのか」を知りたいと考えていて、同じような理由で見る人は多いだろうと思います。
提供者側としては、そのあたりを製品・サービス説明にあらかじめ入れるというより、レビューで書かれることを想定しつつ情報デザインをしていくほうが現実的なのかもしれません。

アレクサちゃんが減っている件について

f:id:junichiirokawa:20180524234444j:plain

Photo by Andres Urena on Unsplash

先日の朝NHKを観ていたら、「アレクサちゃん、減る」という話題をやっていました。
Amazon Echoの売り上げが鈍っているのかな、と思いきや、そういうわけでもなく、赤ちゃんに "Alexa" という名前を付けるのが減っているということでした。
NHKの話題はWeb上では見つけられませんでしたが、同じ話題の記事を見つけました。

robotstart.info

まぁ当然といえば当然でしょうか。
もしも子供がアレクサちゃんだったとしたら、所々で話される Amazon Echo への問いかけに無駄に反応してしまったり、「アレクサ、面白いこと言って」といった具合にいじられてしまうかもしれません。

命令するのに慣れてしまう?

この話題を聞いてふと思ったのが、現在ものすごい勢いで普及しているスマートスピーカーに合わせて、私たちも言葉で命令することに慣れてしまってきているのではないか、ということです。

私たちが普段生活している中で、「しりとりしよう」ならまだしも、「明日の天気は?」とか「面白いことを言って」みたいなことを生身の人間(特に家族以外の人)に対してお願いするときは、けっこう気を遣うように思います。
上からの命令にならないように気を付けたり、言い回しを工夫したり。
あるいは、ちょっと調べれば自分でもわかるものであれば、敢えて聞かないという選択もあります。

ただ、Google Homeしかり、Amazon Echoしかり、スマートスピーカーに対して何か聞くときには、あまりそういった配慮をしなくても問題にはなりません。
要はぶっきらぼうな命令で良いわけです。
それに対してAIアシスタントが「それくらい自分で調べろ」とか「おまえ態度でかいぞ」みたいに怒ってくることはないのですから。

そういう日常を考えた時に、今よりもっと音声UI、AIアシスタントが身近になっていったとき、依頼を命令調でいうことに抵抗がなくなってきて、生身の人間に対してもやや似たような感じになるのではないか?あるいはそこまでいかなくても、会話の質が変わってくるのではないだろうか? そうなると、我々の普段のコミュニケーション、社会生活にもあまり良くない影響が出てくるのでは、と考えてしまいました。

機械との会話は人同士の会話に近づいていくべきなのか?

まぁ考えすぎなのかもしれませんが、ここにひとつ「機械との会話は、人同士の会話に近づいていくべきなのか?」という課題が出てくると思います。
個人的には、そこに一線を引いて、機械であることを意識できるようなコミュニケーションにとどめておくべきなのかなと思いますし、そういったUXデザイン(というか Ethical Design)が必要になってくるかもしれません。

ただ、人同士の会話に近づけることで、ディベートを訓練できたり、英会話が上達したり、といったメリットもあるでしょう。
うまくお願いしないと応えてくれないとか、ご機嫌を取りつつお願いしないとならないようなAIアシスタントであれば、会話量も増えて話し上手になれそうです。
でも、そんなひねくれたAIアシスタント、ちょっと嫌だなぁ。。